【社長ブログ】不動産と建築、分けて考えられない理由

「よし、自分で建築をやった方が、きっともっとちゃんとできる。お客様の役にも立てる!」

そう思ったのはいいものの――

では、**どうやって?**という課題にすぐぶつかりました。

なにせ、それまでの私は“建築”のことはまったくの素人。

得意なのは、あくまで不動産の仲介や査定といった「土地」のことだけ。

建物を建てたことなんて一度もなかったんです。

そんな中でも、心の中に芽生えた“建築への想い”を大切にしながら、まずはできることから始めようと決意しました。

そしてついに、不動産業として独立する日を迎えたのです。


当時の業界を振り返ると、ひとつ大きな変化がありました。

それは、建築会社が土地の仕入れにどんどん積極的になっていたこと。

以前は、土地の仕入れと販売は不動産会社の主戦場でした。

しかし住宅会社が「建物で利益が出せるから、土地は利益ゼロでもいい」と割り切り、

相場よりも高い価格で土地を仕入れるようになっていたんです。

これはどういうことかというと…


■ 土地仕入れ価格の考え方の違い

【不動産会社の場合】

販売価格 - 利益 - 諸経費 = 仕入れ価格

不動産会社は、販売時にある程度の利益を出す必要があります。

そのため、地主さんに提示できる価格にも限界があります。

【建築会社の場合】

販売価格 - 諸経費 = 仕入れ価格(※利益ゼロでもOK)

建物でしっかり利益が出るから、土地では利益を取らない。

だから、地主さんに不動産会社よりも高い価格を提示できてしまうのです。


この違いが何を意味するかというと、

不動産会社では土地の仕入れがどんどん難しくなるという現実です。

そうした状況を目の当たりにする中で、私は次第に思うようになっていきました。

「もう、不動産と建築を“分けて”考える時代じゃないかもしれないな」

不動産だけでも、建築だけでも、お客様にとってベストな提案は難しい。

土地と建物を一体として考えるからこそ、本当に暮らしやすい住まいが提案できるのではないか――

そんな思いが、どんどん強くなっていきました。

そしてそれが、次の大きな一歩へとつながっていくのです。