二世帯住宅で税金メリットを活用する対策(固定資産税・所得税など)|玄関を分けるなど減額条件を解説
ライフステージの変化に伴い、二世帯住宅を検討される方は少なくありません。
子育てや介護などの生活面でメリットのある二世帯住宅ですが、一世帯用の住宅より建築費用が高額になるのが一般的なので、税金メリットをフル活用する対策で建築費用の負担を軽減したいですよね。
二世帯住宅の設計内容によっては税金メリットが少なくなるため、前もって減税条件などを正確に把握しておくことが重要です。
そこで今回は、多世帯同居率が全国トップクラスの福井・石川で多くのご家族の家づくりをサポートしてきた「ノークホームズ」が、以下の項目をわかりやすく解説します。
このコラムのポイント |
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無理のない資金計画で二世帯住宅を実現するために、ぜひ最後までごらんください。
目次
二世帯住宅の税金メリットとは
二世帯住宅を建てる際には、複数の税金メリットを活用可能です。
- 固定資産税:土地は課税標準額を減額、住宅は税額を減額
- 不動産取得税:税率を軽減
- 所得税(住宅ローン減税):所得税控除
- 相続税:小規模宅地の特例
しかし、各税目の税金メリットを受ける条件は異なり、二世帯住宅の設計内容・登記内容によっては税金メリットを活用できない場合もあります。
それぞれの制度内容と適用条件を把握し、税金メリットをフル活用できる二世帯住宅プランを組み立てることが大切です。
福井・石川で二世帯住宅を検討中の方は、ノークホームズへお問い合わせください。
資金計画の段階から、ご家族をサポートいたします。
【固定資産税】納税の概要、二世帯住宅の税金メリット
はじめに、「固定資産税の概要」「二世帯住宅を建てる場合の固定資産税の税金メリット」を確認しましょう。
固定資産税の概要
固定資産税の概要は、以下のとおりです。
- 課税対象:固定資産(土地・建物)
- 納税義務者:毎年1月1日時点の固定資産所有者
- 納税先:固定資産が所在する市町村
二世帯住宅ではない通常の住宅を新築する場合も、税金メリットがあります。
【固定資産税:新築住宅の税金メリット】
- 土地:住宅用地200㎡までの住宅用地の課税標準額※1を、「200㎡までは1/6」「200㎡を超える面積は1/3」に減額
- 住宅:新築から一定期間※2、床面積120㎡までの固定資産税額を1/2に減額
※1課税標準額とは、固定資産税の計算のもとになる「固定資産の評価額」のことです。
※2一定期間の内容は、「戸建て3年間」「マンション5年間」、「長期優良住宅7年間」です。
新築住宅の税金メリットは、制度を延長しながら実施されてきました。
現在、上記の税金メリットの適用期限は、令和8年3月31日までとなっています。
固定資産税|二世帯住宅の税金メリット
固定資産税は、1棟あたりではなく「1戸あたり」で計算するため、二世帯住宅を2戸として登記することで、各世帯が持分に応じて固定資産税の税金メリットを受けられます。
※登記方法については、のちほど「二世帯住宅の税金メリットを最大限活用する対策」で確認できます。
(例)200㎡の二世帯住宅で「1棟の課税標準額:5,000万円」「登記上の持分が親世帯:1/2(100㎡)、子世帯1/2(100㎡)」の場合の税金メリット
登記方法 | 固定資産税の税金メリット |
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1棟を2戸として登記 税金メリット合計:70万円 |
親世帯:5,000万円×1/2×1.4%※×100/100㎡×1/2=35万円 |
子世帯:5,000万円×1/2×1.4%※×100/100㎡×1/2=35万円 | |
1棟を1戸として登記 税金メリット:21万円 |
5,000万円×1.4%×120/200㎡×1/2=21万円 |
※「1.4%」は、固定資産税の税率です。
登記方法によって、固定資産税の税金メリットに大きな差が生まれることがわかりますね。
「二世帯住宅の固定資産税を誰が払うのか」を、こちらの記事で詳しく確認できます。
>二世帯住宅の固定資産税は誰が払うのかは登記内容によって変わる|単独・共有・区分登記の固定資産税を解説
【不動産取得税】納税の概要、二世帯住宅の税金メリット
次に、「不動産取得税の概要」「二世帯住宅を建てる場合の不動産取得税の税金メリット」を確認しましょう。
不動産取得税の概要
不動産取得税の概要は、以下のとおりです。
- 課税対象:土地の購入・贈与、家屋建築などの不動産の取得
- 納税義務者:不動産取得者
- 納税先:都道府県
二世帯住宅ではない通常の住宅を新築する場合も、税金メリットを受けられます。
【不動産取得税:新築住宅の税金メリット】
- 不動産取得税の税率軽減:4%から3%に軽減(令和9年3月末まで)
- 不動産評価額の特例控除※:新築住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下の場合、課税標準額から1,200万円を控除
※控除とは、「差し引く」という意味です。
不動産取得税|二世帯住宅の税金メリット
不動産取得税も、1棟あたりではなく「1戸あたり」で計算するため、二世帯住宅を2戸として登記することで、各世帯が不動産取得税の税金メリットを受けられます。
(例)200㎡の二世帯住宅で「1棟の課税標準額:5,000万円」「登記上の持分が親世帯:1/2(100㎡)、子世帯1/2(100㎡)」の場合の税金メリット
登記方法 | 固定資産税の税金メリット |
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1棟を2戸として登記 |
親世帯:5,000万円×1/2-1,200万円=1,300万円 1,300万円×3%=39万円 |
子世帯:5,000万円×1/2-1,200万円=1,300万円 1,300万円×3%=39万円 |
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1棟を1戸として登記 不動産取得税:114万円 |
5,000万円-1,200万円=3,800万円 3,800万円×3%=114万円 |
上記より、1棟を2戸として登記する場合は、1棟全体で「114万円ー78万円=36万円」の税金メリットを受けられます。
【所得税の住宅ローン減税】二世帯住宅の税金メリット
所得税とは、所得額に応じて課される税金です。
住宅ローンを利用して省エネ性能の高い二世帯住宅を取得すると、「住宅ローンの年末残高×0.7%」を、所得税から最大13年間控除できます。
各世帯が住宅ローン(ペアローン)を利用して二世帯住宅を建てる場合に以下の税金メリットがあるので、二世帯住宅を建てるための資金計画をよく検討することをおすすめします。
- 各世帯が住宅ローン減税を利用できる
- 各世帯が団信保険に加入して保証を受けられる
ペアローンを利用する場合に住宅ローン減税のメリットを最大化する方法を、こちらの記事で確認できます。
>住宅ローン控除を上限まで使えるペアローンシミュレーション|デメリット(手数料2倍など)も簡単解説
ただし住宅ローン減税には詳細な適用条件があるため、住宅ローン利用前に確認しましょう。
【住宅ローン減税の主な適用条件】
- 床面積:50平米以上
- 合計所得金額:2,000万円以下
- 入居時期:住宅の引渡し、あるいは工事完了から6ヶ月以内
- 住宅ローンの期間:10年以上 など
二世帯住宅における相続税の減額制度
相続税とは、主に親族から土地や住宅などの財産を相続した際に課せられる税金です。
二世帯住宅の土地・建物を相続する場合には、「小規模宅地等の特例」という制度によって、330㎡までの土地の評価額を最大80%減額できる税金メリットがあります。
しかし、「亡くなった方の配偶者以外は相続税の申告期限まで継続して二世帯住宅を保有し、居住」といった詳細な適用条件がある点に注意しましょう。
〈参考〉国税庁>トップページ検索窓に「相続税の税率」と入力して検索
二世帯住宅で税金メリットを受けるための条件
二世帯住宅の税金メリットを受けるために、2戸1棟の二世帯住宅プランを検討してください。
【2戸1棟の例】
- 各世帯の居住空間を完全に分ける
- 各世帯専用の居住スペース・住宅設備がある
- 各世帯が建物内で行き来できる
また、次に紹介する登記方法もよく検討しましょう。
福井・石川で二世帯住宅を検討中の方は、ノークホームズへお問い合わせください。
二世帯住宅に関するお問い合わせを、いつでもお待ちしています。
二世帯住宅の税金メリットを最大限活用する対策
二世帯住宅の税金メリットを最大限に活用するポイントは、以下2点です。
- 登記方法に注意
- 二世帯住宅の間取りの種類に注意
登記方法に注意
二世帯住宅の登記方法は「単独登記・共有登記・区分所有登記」の3種類で、各登記方法によって活用できる税金メリットが変わります。
登記の種類 | 税金メリット |
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【単独登記】 二世帯のうち、どちらか一方の世帯の名義で登記 |
相続税 |
【共有登記】 ・二世帯住宅1棟に対して複数人の名義で登記 ・出資割合に応じて持分比率を決める |
・相続税 |
【区分所有登記】 ・二世帯住宅1頭に対して複数人の名義で登記 ・二世帯住宅の特定の区分に対する持分を決める |
・不動産所得税 ・固定資産税 ・所得税(住宅ローン減税) |
各税目で最大限に税金メリットを受けて相続時にもトラブルが起きないように、司法書士・税理士などの専門家に相談して登記方法を決めることをおすすめします。
二世帯住宅の間取りの種類に注意する
二世帯住宅の間取りの種類は「完全共有型・一部分離型・完全分離型」の3つに分類されます。
間取りの種類によって可能な登記方法が変わるため、登記方法を決めたうえで間取りを検討してください。
間取りの種類 | 可能な登記方法 |
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【完全共有型】 二世帯が玄関・水回りなどの居住空間・住宅設備をすべて共有 |
・単独登記 ・共有登記 |
【一部分離型】 居住空間・住宅設備の一部を分離・一部を共有 |
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【完全分離型】 居住空間・住宅設備をすべて分離 |
・単独登記 ・共有登記 ・区分登記 |
完全共有型と比較して一部分離型・完全分離型は建築費用が高額になるため、綿密な資金計画で予算オーバーを防ぎましょう。
こちらの記事で、二世帯住宅の資金計画を検討する際に役立つ情報を確認できます。
>二世帯住宅を「予算4000万円・完全分離の間取り」で建てられるか解説|土地代込みの総予費、間取り実例など
二世帯住宅の税金に関するよくある質問
最後に、ノークホームズが二世帯住宅を検討中のご家族からよくいただく税金メリットに関する質問・回答を紹介します。
二世帯住宅の固定資産税は誰が払う?
固定資産税は、1月1日時点の固定資産所有者が納税義務者となります。
建設費用を負担した人ではないため、注意しましょう。
また、共有名義で登記している場合は連帯納税義務が生じるため、納税義務を負うのは共有者全員です。
しかし、義務を負う人のいずれかが納付すれば、他の人の納税義務はなくなります。
二世帯住宅の税金メリットを受けられるのは新築住宅だけ?
二世帯住宅の税金メリットを受けられるのは、新築住宅に限りません。
二世帯住宅をリフォームした場合も、固定資産税・所得税(住宅ローン減税)などの税金メリットを受けられます。
二世帯住宅の新築・リフォーム時に申請できる補助金はある?
二世帯住宅の新築・リフォーム時に申請できる補助金例は、以下のとおりです。
- 子育てエコホーム支援事業
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助事業
- 給湯省エネ2024事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 先進的窓リノベ2024事業
※2024年時点で実施されている補助金です。
税金メリット・補助金をかけあわせて活用することで、二世帯住宅の建築費用負担を軽減できます。
ただし税金メリット・補助金ともに書類準備・申請等が必要なため、早い段階から調べておくことをおすすめします。
二世帯住宅で申請できる補助金を、こちらの記事で確認できます。
>【2024-2025年】二世帯住宅の新築・リフォーム補助金・減税制度|申請条件、申請時の注意点など解説
まとめ
二世帯住宅には複数の税金メリットがあります。
ただし税金メリットを活用する条件があるため、登記方法・間取りの種類などをよく検討してプランを組み立てましょう。
福井・石川で二世帯住宅を検討中の方は、ノークホームズへお問い合わせください。
二世帯住宅に関するお問い合わせを、いつでもお待ちしています。