水害に強い家は設計時の水害対策・土地選び・メンテナンスでつくる|ハウスメーカー選び、水害補償も解説
日本では、1年間に各地で何度も水害が発生するため、「家を建てるなら水害に強い家づくりが必須」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
水害に強い家は、「新築時の対策」「土地選び」「日常的な家のメンテナンスと防災対策」をかけ合わせてつくるのがベストです。
そこで今回は、過去に大きな水害を経験してきた福井・石川の工務店『ノークホームズ』が、水害に強い家をつくる方法を、わかりやすく解説します。
ご家族の安全な暮らしを守る家づくりのために、ぜひ最後までごらんください。
※建築予定地が施工エリア内(福井・石川)の方のみ対応させていただきます。
目次
水害の原因になる災害の種類、水害の種類、具体的な被害想定
水害の原因になる災害の種類は、以下のとおりです。
- 台風による大雨
- 大雨による洪水
- 大雨による内水氾濫(下水道・排水路・側溝などの氾濫)
- 大雨・地震などによる土砂災害
- ゲリラ豪雨による洪水
- 地震による津波
- 強風による高潮
上記のような災害によって個人が受ける可能性がある水害の種類・具体的な被害想定を、一覧表にまとめました。
水害の種類 | 具体的な被害想定例 |
---|---|
床下浸水 (浸水深:地面から50cm以下) |
・床下に水や泥が侵入 ・家財が濡れる場合もある |
床上浸水 (浸水深:地面から50cm以上) |
・床上に水や泥が侵入 ・家電・住宅設備の故障 ・停電・ガス停止 ・建物の変形 ・内装材の破損 |
排水管からの汚水逆流 (トイレ・浴室・洗濯機の排水溝・キッチンなどから汚水が吹き出る) |
・家電・住宅設備の故障 ・泥などで排水管が詰まる ・水道停止 ・悪臭 |
家の半壊 (家の20〜50%に損害) |
補修しないと住めない |
家の全壊・流出 (家の50%以上に損害) |
住めない |
車の水没 (フロアマットまで浸水) |
・浸水深10〜30cmでブレーキ性能低下 ・浸水深30〜50cmでエンジン停止 ・浸水深50cm以上で車が浮き、パワーウインドウなどが動作しない |
漏電 (電気がコードなどから流れ出る) |
・停電 ・漏電の原因になった電化製品の故障 ・火災発生 ・感電による死傷事故 |
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『身につく防災コンテンツ』>コンテンツ2:家庭での被災想定
日本では災害の影響を一切受けない家をつくるのは難しいのが現実ですが、「上記のような水害の被害をなるべく受けない対策」「水害をなるべく避ける対策」は可能です。
家の設計・土地選びの段階から対策するのがベストなので、次に水害に強い家を新築する方法を紹介します。
水害に強い家を新築する方法
水害に強い家を新築する方法は、3つに分類すると理解しやすくなります。
- 敷地・外構
- 家の外装
- 室内や配管など
具体的な対策は多岐に渡り、家づくりの際には、「水害に強い」以外にも考慮するべき住宅性能などが多数あります。
家を建てる土地の状況・ご家族のライフスタイル・ご予算などに応じて、ご家族の安全性・快適性をバランスよく実現するプランを組み立てていただけると幸いです。
敷地・外構
新築時に敷地自体・外構に実施できる水害対策は、以下のとおりです。
- 盛土で敷地をかさ上げし、鉄筋コンクリートの擁壁で地盤の沈下・崩壊を防ぐ
- 防水性の塀で敷地を囲む
- 門扉を防水扉にする
ただし、上記の対策には高額な費用が必要です。
また、想定外の大災害では敷地を完全に水害から守るのが難しい可能性があるため、次に紹介する「家の外壁や基礎などに実施できる水害対策」も検討してください。
家の外壁や基礎など
新築時に「家の外壁」「基礎」などの外まわりに実施できる水害対策は、以下のとおりです。
- 基礎を高くする
- 基礎に防水剤を塗布する
- 基礎の換気口を想定浸水深よりも高い位置にする
- 基礎貫通部(配管を通すための穴など)の隙間をふさぐ
- 基礎・床の結合を強化して、家の浮き上がりを防ぐ
- 1階の床の位置を高くする(1階ガレージ・2階以上住居とする方法もある)
- 想定浸水深までの位置に、開口部をつくらない
- 浸水しづらい外壁材(金属製・タイル性など)を採用し、防水剤を塗布する
- 外置きの設備は高い位置に設置し、配管がある場合には防水処理をする
- 間口には密閉性の高い玄関ドア・窓などを設置する
- 外部コンセントを高い位置に設置
- 床下点検口を増設して、排水・泥などの片付け・乾燥をしやすいようにする
ただし、「基礎を高くする」「1階の床の位置を高くする」場合には、以下のような点も考慮する必要があります。
- バリアフリー性が損なわれる
- 高さ制限がある土地では、基礎や床の位置を高くすることで、希望の間取りを実現できないケースがある
※「高さ制限」とは土地に付随する建築制限のことで、隣地・隣接する道路の日照を確保するために、建物の高さが制限される場合があります。
ご家族が思い描くマイホームと水害対策を両立させるために、高い設計・施工技術を持つ施工業者に家づくりを依頼してください。
福井・石川で水害に強い家をご希望の方は、ノークホームズへお問い合わせください。
水害に対する不安やご希望の対策を丁寧にお伺いし、最適なプランを提案いたします。
※建築予定地が施工エリア内(福井・石川)の方のみ対応させていただきます。
室内や配管など
新築時に家の室内や配管などに実施できる水害対策は、以下のとおりです。
- コンセントを高い位置に設置
- 排水管に逆流防止弁を設置
- 水回り設備を2階に配置
- 1階・2階のブレーカーを分ける
- 平屋の場合は屋上をつくる、屋根から脱出できるようにハシゴや出口を設ける
- 地下をつくらない
- 1階の家財を2階に避難させる際に運びやすい、経路・階段幅などを考慮する
- 迅速な避難が難しいご家族の避難経路を考慮して、間取りを作成する
水害に強い家を建てる土地の選び方|避けるほうがいい土地
水害に強い家を新築する際に実施できる対策を確認してきましたが、家づくりの際には、「水害を受けにくい土地を選ぶ」という視点も大切です。
土地選びのポイントとして、「避けるほうがいい土地」も紹介するので、参考にしてください。
- ハザードマップで内水氾濫・外水氾濫・土砂災害など水害のハザードがある土地
- 過去に何度もゲリラ豪雨などが発生しているエリアの土地
- 地名から水害を予測できる土地
- 近くの堤防整備が不十分な土地
ハザードマップで内水氾濫・外水氾濫・土砂災害など水害のハザードがある土地
「ハザードマップ」とは地震などの災害による被害想定・避難経路などを確認できる地図のことで、国・自治体がそれぞれ作成しています。
ハザードマップの見方を、こちらの記事で確認できます。
>福井県各市町村の水害に強い地域の調べ方|ハザードマップ活用方法、過去の水害も解説
ハザードマップでは、「内水氾濫の想定浸水深」「土砂災害の危険度」のほかに、過去の地形なども確認できます。
ハザードがある土地は以下のような項目に該当するケースが多いため、ご家族の通勤・通学経路まで範囲を広げてハザードを確認し、土地選びの参考にしてください。
- 丘陵を切り崩した造成地
- 扇状地や沢の口
- 急傾斜地
- 樹木の少ない山間部
- 河口部
- 湖などを埋め立てた土地
- 小さな河川が近くにある土地
- 河川よりも低い位置に造成されたエリア
河川よりも低い位置の水害対策を、こちらの記事で確認できます。
>河川より低い土地の水害対策|洪水・内水氾濫の被害を避ける家づくりの工夫、歴史的な暮らしの特徴も解説
過去に何度もゲリラ豪雨などが発生しているエリアの土地
地域特有の地形や気候の影響で、ゲリラ豪雨が発生しやすいエリアもあります。
気象庁のホームページなどで過去の気象データを確認できるため、土地を探すエリアのデータを確認してみてください。
地名から水害を予測できる土地
水害を受けやすいエリアは、地名から予測することも可能です。
土地の住所に以下のような文字や水に関連する文字が含まれている場合は、ハザードマップを確認してみましょう。
- 川
- 灘
- 沢
- 深
- 堀
- 橋 など
一方で、古くから祀られている神社・仏閣の周辺は水害を受けにくい傾向があります。
また、日本全国の自治体は計画的に治水整備に取り組んでいるため、地名に水に関連する文字が含まれていても、水害リスクが軽減されている場合もあります。
近くの堤防整備が不十分な土地
近くの堤防整備が不十分な場合も、将来の水害で被害が発生することを予測できます。
- 過去の洪水の被害状況に応じて、堤防が再整備されていない
- 過去の洪水や地震で堤防が破損したが、修繕されていない など
堤防整備・治水整備の状況は自治体によって違うため、土地を購入したいエリアを実際に歩いてみて、水害を受ける危険性を確認しましょう。
水害を防止する日常的なメンテナンス・防災対策も大切
ここまで、家を新築する際に水害に強い家をつくる対策を紹介してきましたが、水害対策は日常的に取り組んでいくことも大切です。
【水害に強い家を維持する日常的なメンテナンス】
- 外壁や屋根の破損箇所を修繕しておく
- 雨樋内の落ち葉やゴミを取り除く
- 家周辺の側溝にゴミが詰まらないように掃除をする
【日常的な防災対策】
- 水害時の被害想定に応じて、土のう・止水板などを準備しておく
- 2階や高い位置に非常持出し袋を保管する
- ご家族間で災害時の避難ルート・避難場所・連絡方法を話し合う
- リアルタイムで災害情報を確認できる手段を確保しておく(アプリ、ラジオなど)
- 「避難勧告」など、警報の意味を確認しておく
特に小さなお子さまだけで留守番をすることが多いご家庭、ご家族が離れた場所で過ごすことが多いご家庭などの場合は、「いざというときに各人が命を守る行動ができるか」が大切です。
ご家族全員で定期的に家の点検などを実施して、防災意識を維持していただけると幸いです。
水害に強い家づくりを依頼するハウスメーカーの選び方
ここまで水害に強い家のつくり方を紹介してきましたが、「水害に強い家づくりには、専門家のサポートが不可欠」とお感じになった方が多いのではないでしょうか。
万全の水害対策と快適性・デザイン性などを兼ね備えた家づくりには高い設計・施工技術が必須なので、ハウスメーカー選びの際には、ぜひ以下のような点を確認してください。
- 標準仕様で高い住宅性能を提供している(高い技術力が無いと実現できないため)
- 地域ならではの気候・地形・自治体の治水整備状況などを熟知している
- 注文住宅に対応可能
- 要望に応じて柔軟な対応・プラン提案が可能
- 保証内容が充実していて、アフターフォローが手厚い
- リフォーム・リノベーションにも対応可能
また、ハウスメーカーの業態は多様化していて、全国区の大手メーカー・地元工務店・設計事務所などさまざまです。
2〜3社をピックアップし、打ち合わせを実施したうえで信頼できる業者を選びましょう。
こちらの記事で、各業者の特徴や違いを確認できます。
>工務店・設計事務所・ハウスメーカーの違いは?注文住宅で後悔しない業者選びのコツ、メリット・デメリットを解説
水害に遭った場合の支援制度・補償
ここで、「万が一水害に遭ってしまった場合に、どうすればいい?」と不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。
水害に遭った方に対して、以下のような支援制度や補償があります。
支援制度・補償の実施者 | 保証内容 |
---|---|
国・自治体 | ・国の「住宅の応急修理制度」で上限54.7万円の支援を受けられる ・国の「被災者生活再建支援制度」で最大300万円の支援を受けられる ・自治体の支援制度は自治体によって違う |
住宅金融支援機構 | 被災した家の復旧資金を低金利で貸付(上限1,650万円) |
火災保険会社 | ・火災保険に水災補償を追加できる ・台風・豪雨などによる洪水・内水氾濫などで水害を受けた場合に保険適用となる ・「地面から45cm以上の浸水」など保険会社ごとに規定がある |
水害と同様に「地震に強い家づくり」も大切
最後に、家を建てる際に水害対策と同様に検討していただきたい「地震の対策」も紹介します。
地震対策の中心となるのは、「耐震性能の強化」です。
耐震性能には等級があるため、ハウスメーカーが提供している「標準性能の耐震等級」を確認し、必要に応じて耐震性能の強化を検討してください。
- 耐震等級1:震度6〜7の地震でただちに倒壊しない、震度5の地震でただちに破損しない
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性能
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性能
耐震等級3は、防災拠点となる消防署などと同レベルの耐震性能で、「地盤の強化」「柱や梁(はり)の構造」「耐震強度が高い建材の使用」などによって実現します。
こちらの記事で、耐震等級3の必要性を確認できます。
>耐震等級3は必須なのか|「能登半島地震」クラスの地震に備える住宅の耐震性能事情
ノークホームズは、標準仕様で耐震等級3の家を建築しています。
福井・石川で災害に強い家をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
※建築予定地が施工エリア内(福井・石川)の方のみ対応させていただきます。
まとめ
水害に強い家のつくり方を解説してきました。
水害に強い家は、「新築時の設計」「土地選び」「日常的なメンテナンスや防災対策」をかけ合わせてつくる必要があります。
今回紹介した情報を参考に、水害を避ける対策を取り入れながら、ご家族が安全・快適に暮らせる家づくりのプランを組み立てていただけると幸いです。