高気密高断熱住宅でカビは発生しやすい?理由と対策、新築時の注意点も解説
高気密高断熱住宅は快適で省エネ性能が高い住宅として人気がありますが、「カビが発生しやすいのでは」と不安を感じる方も少なくありません。
高気密高断熱住宅は、適切な設計と施工、運用が行われていれば、カビが発生しにくい住宅です。
ただし、換気不足や結露といった問題が原因で、カビが発生するリスクはゼロではありません。
この記事では、高気密高断熱住宅が「カビが発生しやすい」と言われる理由や、福井・石川で断熱等級7が標準仕様の工務店「ノークホームズ」によるカビ対策、新築時に注意すべき点をご紹介します。
コラムのポイント |
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目次
カビが発生するメカニズムと健康への影響
日本の住宅は、特有の気候特性と建築環境の影響を受け、カビのリスクが高まりやすい傾向にあります。
カビが発生する4つの条件
カビの発生は、主に以下の条件が揃うことで急速に繁殖します。
- 湿度:カビは湿度が高い環境で特に繁殖しやすく、湿度が70%以上になると活発に増殖します。
- 温度:カビの成長に適した温度は20〜30℃とされています。
- 栄養素:カビは、ホコリ・食べかす・木材・紙類などの有機物を栄養源として利用します。
- 酸素:カビは、酸素がないと発育できません。
カビが発生しやすい場所
住宅内でカビが発生しやすい場所とその理由は以下のとおりです。
主なカビの発生か所 | 理由 |
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【浴室】 ・浴槽の周り ・シャワーヘッド ・排水口 など |
高温多湿な環境が続くため、カビが生えやすい代表的な場所です。 |
【キッチン】 ・シンク周り ・調理器具 ・冷蔵庫の裏側 など |
調理で発生する水蒸気や、食品の残留物、油汚れがカビの栄養源となります。 |
【洗面所】 ・鏡の裏側 ・洗面台の下 ・排水口 など |
水はねや湿気がこもりやすいため、結露が発生しやすい場所です。 |
窓周り | 窓周囲では、室内外の温度差によって結露が発生しやすい場所です。 |
押入れ・クローゼット | 換気が不足しがちなため、結露が発生しやすい場所です。 |
家具の背面やカーテンの裏側 | 空気の流れが悪いため、湿気がこもりやすく、結露が発生やすい場所です。 |
カビが及ぼす健康への影響
カビは「アレルギー性鼻炎」「気管支喘息」「アトピー性皮膚炎」など、さまざまなアレルギー症状を引き起こす可能性があります。
特にアレルギー体質の人や呼吸器疾患をお持ちの方は、カビの影響を受けやすい傾向があります。
さらに、カビ毒(マイコトキシン)を含む種類のカビは、呼吸器疾患や肝機能障害などの、長期的に健康へ悪影響を及ぼす場合もあります。
福井・石川で高気密高断熱住宅を検討中の方は「ノークホームズ」にご相談ください。
ご家族が一年中快適で健康的に過ごせる生活をサポートをさせていただきます。
高気密高断熱住宅はカビが発生しやすいと言われる理由と対策
高気密高断熱住宅は、24時間換気システムによって湿気を効率的に排出し、新鮮な空気を取り込むよう設計されています。
この仕組みにより、一般的な住宅よりもカビが発生しにくい環境を提供しています。
一方で、以下のような理由により「カビが発生しやすい」という誤解が生じることがあります。
対策と併せて詳しく解説します。
- 換気不足による場合
- 梅雨の時期や冬場の湿度と結露
- 壁内結露が発生することがある
- 定期的な清掃とメンテナンス
換気不足による場合
カビが発生しにくいとされる高気密高断熱住宅でも、湿気が大量に発生する「浴室」や「洗面所」などの水回りで、換気が十分でないとカビが発生することがあります。
これらのエリアには24時間換気システムが設置されていますが、換気が不十分だったり、換気システムを停止すると湿気が室内に留まりやすくなります。
24時間換気システムは随時稼働させ、浴室使用後には扇風機を回したり、浴室や脱衣所などの窓を開けて換気をすることをおすすめします。
梅雨の時期や冬場の湿度と結露
梅雨の時期は外気の湿度が非常に高くなる影響で、室内も自然と湿気がこもりやすくなります。
また、雨が続くと洗濯物を室内で干す機会が増え、湿気が増加する原因になります。
梅雨時期には、除湿器を活用して室内の湿度を60%以下に保つことを心がけましょう。
一方、冬場は外気温が低いため、室内の暖かい空気との温度差で結露が発生しやすくなります。
高気密高断熱住宅では二重窓や断熱性能の高い窓を採用することが多いですが、室内の湿度が高すぎると結露を完全に防ぐのは難しくなります。
窓の結露はカーテンの裏側などにカビが発生する原因になるため、定期的に拭き取りを行い、温度管理をすることが大切です。
壁内結露が発生することがある
高気密高断熱住宅では、断熱材の施工時にすき間があると温度差が生じ、壁内で結露が発生することがあります。
断熱材のすき間から入り込む冷たい外気が、内部の暖かい空気と触れることで結露を発生しやすく、カビの原因になります。
通常は、断熱材に湿気が入り込まないように十分に施工されています。
しかし、適切な施工がされていない場合、壁内で結露が発生する場合があります。
壁内で発生した結露は外部から確認しづらいため、気付かないうちにカビが広がり、住宅の構造に悪影響を与える可能性があります。
壁内で発生した結露を早期に発見するには、定期的な点検が必要です。
定期的な清掃とメンテナンス
カビの原因となる湿気は、換気システムや除湿機だけでは完全に取り除けません。
特に、カビが発生しやすい以下の場所では、こまめな清掃が重要です。
- 浴室:壁・天井・床 など
- キッチン:換気扇周り・シンク下 など
- 窓周辺:窓周囲のサッシ溝 など
また、ホコリの中にもカビが含まれるため、換気システムのフィルターなどは定期的に交換または清掃し、汚れを溜め込まないことが大切です。
福井・石川で高気密高断熱住宅をご検討中の方は「ノークホームズ」へご相談ください。
地域特有の気候に合わせた快適でメンテナンスしやすい住まいをご提案いたします。
高気密高断熱住宅の新築時に注意すべきポイント
高気密高断熱住宅を新築する際は、性能を最大限に発揮し、カビの発生を防ぐためのポイントを押さえることが重要です。
断熱材や窓の選び方、施工精度の確認など、計画段階での工夫や施工中の注意が、長期間快適に暮らすための鍵となります。
断熱材の選び方
高気密高断熱住宅では、使用する断熱材の種類によって湿気への耐性が異なります。
以下、主な断熱材の種類と特徴です。
分類 | 断熱材 | 特徴 |
---|---|---|
無機繊維系 | ・グラスウール ・ロックウール |
・価格が安い ・耐火性に優れているが、湿気に弱い |
木質繊維系 | セルロースファイバー | ・調湿性に優れている ・コストが高め |
天然素材系 | 羊毛 | ・調湿性と断熱性が高い ・コストが高く、施工可能な業者が少ない |
炭化コルク |
・天然の調湿機能により、結露の発生を防ぐ |
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発泡プラスチック系 | 硬質ウレタンフォーム | ・水や湿気が侵入しにくく、結露やカビの発生が少ない ・万が一燃えた場合、有毒ガスが発生する可能性がある |
フェノールフォーム | ・高い断熱効果が期待できる ・耐火性・耐久性が高いが価格が非常に高い |
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ビーズ法ポリスチレンフォーム |
・柔らかく、加工しやすい |
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押出法ポリスチレンドーム | ・耐水性が高く、吸湿率が低い ・熱に弱い |
湿気に強い断熱材を選ぶことも大切ですが、壁内結露を防ぐためには、性能の良い断熱材を選ぶだけでは十分な効果を発揮できません。
断熱材の選び方については、こちらで確認してください。
>マイホームに入れる断熱材の種類一覧・断熱性能ランキング|断熱材は何がいいのか選び方を解説
窓やサッシの断熱性能を高める
窓を選ぶ際は、アルミサッシよりも断熱性に優れた樹脂製サッシの方が、結露を防止する効果があります。
また、断熱タイプの複層ガラスやトリプルガラスを使用することで、断熱性を高めることができます。
一方、夏場に日差しを抑えたい場合は、「遮熱タイプ」を取り入れるのもおすすめです。
高気密高断熱に採用する窓についてはこちらでも確認できます。
>高気密高断熱の住宅は換気設備&窓選びで夏の過ごし方が変わる|湿度が下がらないなどの後悔を避ける方法
気密測定を行う
気密性能は設計で決めるものではなく、住宅がどれだけ丁寧に施工されたかを示す指標です。
気密性能は「C値」で表され、この値が小さいほど気密性が高いことを意味します。
高性能な住宅では、C値が0.1〜0.5程度に抑えることを目指します。
施工中に行われる気密測定では、断熱材に気密シートを貼り合わせたり、コンセント周りをテープで防いだりして、住宅の隙間を極力減らします。
換気システムを適切に運用する
高気密高断熱住宅では、適切な換気が重要です。
住宅への設置が義務付けられている24時間換気システムは、大きく分けて以下の種類があります。
換気設備の種類 | 特徴 |
---|---|
第1種換気 | ・給気と排気両方を機械で行う ・省エネ性能が高く、室内の湿度を効率的に調整できる ・コストがかかる |
第2種換気 | ・給気のみを機械で行い、排気は自然換気で行う ・外部の新鮮な空気を効率的に取り入れやすい ・一般住宅ではほとんど採用されない |
第3種換気 | ・排気のみを機械で行い、給気は自然換気で行う ・湿気の侵入を防ぐことができる ・コストを抑えることができる |
<参考>国土交通省:建築基準法「建築基準法における換気の規定について」
それぞれにメリットとデメリットがありますが、高気密高断熱住宅では、安定した換気を確保できる第1種換気システムがおすすめです。
また、冬場は暖房とのバランスを考慮し、熱交換型換気システムを活用すると効率的です。
ノークホームズでは、第1種熱交換換気システムを標準装備しています。
こちらでは、ノークホームズの高い気密性へのこだわりをご紹介しています。
信頼できる施工業者を選ぶ
高気密高断熱住宅の性能は、施工技術や使用される材料によって大きく左右されます。
期待通りの断熱性や気密性を実現するためには、以下の点を参考に、経験豊富で信頼できる施工業者を選ぶことが重要です。
- 高気密高断熱住宅の施工事例が豊富
- 断熱性能や気密性能が数値などの指標で確認できるか
- 地域の基準を超える断熱材を使用し、気密性を確保する施工技術を行っているか
- 住宅性能に応じた換気システムが設計・施工されているか
- 品質管理やアフターサポートが充実しているか
高気密高断熱の住宅の失敗しない施工業者の選び方はこちらでも確認できます。
>高気密高断熱住宅の選び方┃性能の見方と失敗しないハウスメーカーの選定ポイント
福井・石川で高気密高断熱の住宅の施工業者をお探しの方は「ノークホームズ」にご相談ください。
ノークホームズは、断熱等級7が標準仕様の気密・断熱性能の家づくりを行う工務店です。
まとめ
高気密高断熱住宅は、適切な設計や施工、正しい運用によって、カビが発生しにくい環境を提供します。
しかし、換気不足や結露、適切な施工などがされていない場合は、カビのリスクが高まることもあります。
カビを防ぐためには、「湿度管理」「日常的な換気」「適切な断熱・気密性」が重要であること紹介をしてきました。
この記事が、ご家族全員にとって健康的で快適な高気密高断熱住宅の生活を実現するための参考になれば幸いです。