断熱等級と光熱費の関係|光熱費シミュレーションや注文住宅で失敗しない3つのポイントを解説
断熱等級は注文住宅の快適性と月々のランニングコストを左右する重要な要素です。
断熱性能が高いほど光熱費が抑えられますが、初期コストとのバランスも考慮する必要があります。
今回は標準仕様で最高クラスの高気密高断熱の住宅を建築している福井・石川の工務店『ノークホームズ』が、以下について解説します。
このコラムのポイント |
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本記事を読むと、断熱等級を上げて月々の光熱費を削減でき、快適な注文住宅を建てるためのヒントがわかります。ぜひ最後までお読みください。
目次
断熱等級が上がると光熱費が下がる
断熱等級と光熱費には密接な関係があり、高い断熱性能は光熱費の削減につながります。
断熱等級が上がるにつれて、住宅の断熱性能が向上し、外部との熱の出入りが少なくなることで「冬は暖かく、夏は涼しい」快適な室内を維持可能です。
ただし、高い断熱等級を実現するには建築費用が増加します。
建築費用の上昇と将来の光熱費削減効果のバランスを慎重に検討しましょう。
長期的な視点で見ると、高い断熱等級の住宅は快適性が向上し、光熱費も抑えられるため、メリットが大きいと言えます。
断熱等級とは何か?
断熱等級とは、住宅の断熱性能を評価する指標のことです。
断熱等級は1〜7までの7段階に分かれており、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します。
断熱等級 | UA値基準(6地域) | 省エネ基準 |
等級7 | 0.26 | HEAT20 G3基準 |
等級6 | 0.46 | HEAT20 G2基準 |
等級5 | 0.6 | ZEH基準 |
等級4 | 0.87 | 2016年基準 |
等級3 | 1.54 | 1993年基準 |
等級2 | 1.67 | 1980年基準 |
等級1 | - | 1980年基準未満 |
現在の新築住宅では、断熱等級4以上が一般的となっています。
2025年には断熱等級4が義務化される予定で、2030年には断熱等級5が標準になる見込みです。
断熱等級は、壁や床・屋根・開口部(窓やドア)などの断熱性能を総合的に評価して決定されます。
高い断熱等級を選ぶと、光熱費を削減できて省エネなだけでなく結露の防止やヒートショックのリスク低減など、快適で健康的な住環境を実現できます。
省エネ住宅の義務化について、こちらで内容を確認できるのでぜひ参考にしてください。
>「2025年からの省エネ住宅義務化」とは|断熱等の義務化内容、影響をわかりやすく解説
断熱性能を表すUA値とは
UA値とは、住宅全体の断熱性能を数値化した指標です。
正式名称は「外皮平均熱貫流率」と呼ばれ、数値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
UA値は、住宅の外壁や屋根・床・窓などの各部位の面積と熱貫流率を考慮して計算されます。
UA値が低い住宅ほど、外部との熱の出入りが少なくなるため、冷暖房効率を改善可能です。
断熱等級とUA値は密接な関係にあり、両方の指標を参考にすることで、住宅の断熱性能をより正確に把握できます。
福井・石川で高気密高断熱住宅をお求めの方は、ノークホームズにお任せください。
夏も冬も快適に過ごせる住宅を提案いたします。
断熱等級別の光熱費比較
断熱等級によって、住宅の光熱費には大きな差が生じます。
断熱性能が高いほど、冷暖房にかかるエネルギーが少なくなり、光熱費を削減できます。
ただし、最適な断熱等級は地域によって異なるため、住宅を建てる地域に応じた適切な断熱基準の選択が重要です。
次の章で解説していきます。
地域別の断熱等級と光熱費の関係
断熱等級ごとに求められる性能は、地域によって大きく異なります。
日本は気候によって8つの地域に分類されており、それぞれの地域で推奨される断熱等級が異なります。
地域区分 | UA値 |
1地域 | 0.4 |
2地域 | 0.4 |
3地域 | 0.5 |
4地域 | 0.6 |
5地域 | 0.6 |
6地域 | 0.6 |
7地域 | 0.6 |
8地域 | - |
求められる断熱性能が変わるのは、地域によって必要な冷暖房エネルギーが異なるためです。
福井県の場合、地域区分は3つに分かれており、同じ断熱等級でも地域によって光熱費削減効果は異なります。
寒冷地ほど高い断熱性能の効果が大きく、年間の光熱費削減額も大きくなります。
地域の特性を考慮して適切な断熱等級を選択することが、効果的な光熱費削減に有効です。
高断熱住宅の光熱費削減効果
高断熱住宅は、一般的な住宅と比べて大きな光熱費削減効果があります。
以下が、UA値の違いによる具体的なシミュレーション結果です。
断熱等級別の年間電気代の比較 | ||||
断熱等級 | UA値 | 設計二次エネルギー消費量 | 年間電気代 | 等級4との差額 |
等級4(省エネ基準) | 0.87 | 5,123kwh | 217,570円 | - |
等級5(ZEH基準) | 0.6 | 4,656kwh | 198,661円 | 18,909円減 |
等級6(HEAT20 G2) | 0.46 | 4,387kwh | 187,769円 | 29,801円減 |
等級7(HEAT20 G3) | 0.26 | 4,191kwh | 179,833円 | 37,737円減 |
【シミュレーション条件】
- 延床面積:120.08㎡
- 地域区分:6地域
- 外皮面積の合計:307.51㎡
- 冷暖房は居室のみエアコンを使用
- すべての居室の照明設備はLED照明
- 電気代は東京電力、契約容量60A、従量電灯Bプランで計算
シミュレーション結果から、断熱等級が上がるにつれて年間電気代が大きく削減されることがわかります。
等級4と等級7を比較すると年間約37,737円の節約となり、約17.3%の削減率に相当します。
注目すべき点は、等級5(ZEH基準)への移行で大きな削減効果が得られ、以降は効果がゆるやかになっていることです。
ゆるやかになる傾向は、投資対効果を考える上で重要なポイントになります。
電気代の削減効果は地域や生活スタイルによって変動しますが、高断熱住宅の光熱費削減効果は明らかです。
さらに、光熱費削減効果は住み続ける限り継続するため、長期的には非常に大きな経済的メリットとなります。
たとえば35年間住み続けた場合、等級7の住宅では等級4と比べて約132万円の節約となる計算です。
断熱等級7の家を建てるメリット・デメリットについて、こちらで解説しています。
>断熱等級7の家を建てるメリット・デメリット|ハウスメーカー選びのポイントも
断熱性能は光熱費だけでなく健康に影響する
断熱性能は光熱費削減だけでなく、健康面でも大きなメリットがあります。
とくに注目すべきは、ヒートショックのリスク低減効果です。
高断熱住宅では、室内の温度差が小さくなることで、ヒートショックのリスクが低減されます。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす危険な現象です。
とくに冬場の入浴時に多く発生しやすく注意が必要です。
国内では年間約1万9000人がヒートショックで亡くなっているとされており、2019年の交通事故による死亡者数3215人の約5.9倍にも上ります。
高断熱住宅を選ぶことで、リスクを大きく減らせます。
断熱性能を高めることは、光熱費削減だけでなく、健康で安全な暮らしを実現する上でも非常に重要です。
出典:消費者庁 冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!
断熱等級を上げてコストを削減するためのポイント
断熱等級を上げることで光熱費を削減できますが、効果的な実施には以下の3つのポイントに注意が必要です。
- 断熱等級は高ければ良いわけではない 適切な断熱等級の選択
- 補助金制度を活用する
- 省エネ家電に買い換える
順番に解説します。
断熱等級は高ければ良いわけではない
断熱等級は高ければ高いほど良いというわけではありません。
断熱等級を上げるには、断熱材や開口部を高断熱仕様にする必要があり、高性能化に伴ってコストが上がります。
もちろん、快適性や健康面でのメリットもありますが、経済的な観点だけで見ると、必ずしも高い断熱等級が最適とは限りません。
重要なのは、以下の要素のバランスを考慮することです。
- 光熱費削減効果
- 建築コスト
- 月々の住宅ローン返済額
- 快適性や健康面でのメリット
- 住宅の耐用年数
- 将来のエネルギー価格の変動予測
断熱等級を上げることで光熱費は下がりますが、住宅ローンの返済額が増えて月々の支払いが大変になる可能性があります。
ご家庭の状況に合った、バランスの取れた選択をすることで、快適で経済的な住まいを実現できます。
補助金制度を活用する
断熱等級を上げて光熱費を削減する際、初期費用の負担が大きな課題です。
しかし補助金制度や住宅ローン控除を活用することで、費用負担を軽減できます。
国や地方自治体が提供する補助金制度には、以下のようなものがあります。
- 長期優良住宅認定制度
- ZEH支援事業
- 各地方自治体の補助金
補助金制度をうまく活用することで、高断熱住宅の建築費用を抑えつつ、将来の光熱費削減も実現できます。
ただし、制度の内容は年度によって変更される場合があるため、最新の情報を確認することが重要です。
ノークホームズは、各種補助金の申請が可能な工務店です。
福井・石川で「補助金を活用してお得に省エネ性能に優れた家づくりをしたい」とご希望の方は、ノークホームズにお気軽にご相談ください。
省エネ家電に買い換える
断熱等級を上げても、家電の性能が悪いと光熱費の削減効果が十分に得られません。
とくに注目すべきは、住宅の消費電力の約半分を占めるエアコンと冷蔵庫です。
住宅の断熱性能が高くても、家電の性能が悪いと光熱費は下がりにくいです。
断熱等級を上げると同時に、家電を省エネモデルに買い換えることで、より大きな光熱費削減効果を得られます。
省エネ家電への買い換えには、初期費用がかかりますが、長期的に見れば大きな節約につながります。
まとめ
断熱等級が高いほど光熱費削減効果は大きくなりますが、地域に適した等級選択が重要です。
高断熱住宅は光熱費削減だけでなく、健康面でもメリットがあります。
今回紹介した内容を参考に、快適で経済的な住まいを検討していただければ幸いです。