断熱等級5の基準値とUA値を解説|高断熱の注文住宅を建てる方必見
断熱等級5は、2022年4月に新設された住宅の断熱性能を表す基準です。
省エネ基準の強化に伴い、2025年にはすべての新築住宅で断熱等級4が義務化され、将来的には断熱等級5の基準を満たす必要があります。
注文住宅を検討中の方にとって、断熱等級5の基準値や必要な断熱材の厚みなどを理解しておくことは非常に重要です。
そこで今回は、福井・石川の工務店『ノークホームズ』が、断熱等級5とは何なのか、基準値や他の等級との違いまで、高断熱住宅を建てる際に知っておくべき情報を詳しく解説します。
注文住宅を検討される際は、ぜひ参考にしてください。
目次
断熱等級5とは?
断熱等級5は、住宅の断熱性能を表す指標の一つです。
では、断熱等級について詳しく見ていきます。
断熱等級とは何か?
断熱等級とは、住宅の断熱性能を簡単に比較できるように定められた指標です。
1〜7までの等級に分けられており、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します。
断熱等級は、住宅の快適性や省エネ性能に大きく影響します。
断熱性能が高いほど冷暖房の効率が良くなり、光熱費の削減が可能です。
また室内の温度差が小さくなるため、ヒートショックのリスクを低減し、健康的な暮らしを実現できます。
断熱等級5が新設された理由
近年、地球温暖化対策として脱炭素社会の実現が求められています。
日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げ、住宅部門においても省エネ性能の向上を推進しています。
しかし日本の住宅の断熱性能は、欧米諸国と比べて低いのが現状です。
そこで、政府は省エネ基準を段階的に引き上げることを決定しました。
この取り組みの一環として、2022年4月に断熱等級5が新設され、さらに同年10月には、断熱等級6、7も追加されています。
断熱等級5は、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準と同等の高い断熱性能を有しています。
ZEH(ゼッチ)とは |
生活で使用するエネルギーよりも、太陽光発電で作るエネルギーが上回る住宅のこと。 |
断熱等級5の新設により、より高い省エネ性能を持つ住宅の普及が期待されています。
ZEH住宅についてはこちらで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
>ZEH基準、省エネ住宅の認定基準とは|メリット・デメリット、住宅ローン控除などわかりやすく解説
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断熱等級5の基準値と仕様について
断熱等級の基準は、外皮平均熱貫流率(UA値)と平均日射熱取得率(ηAC値)の2つです。
基準 | 概要 |
UA値 | 住宅の外皮(壁や窓などの内外の境界)を通過する熱量を表し、数値が小さいほど断熱性能が高い。 |
ηAC値 | 日射熱による冷房負荷の大きさを表し、数値が小さいほど夏の暑さを和らげる効果が高い。 |
断熱等級5の住宅では、これらの値がどのような基準を満たす必要があるのでしょうか。
断熱等級5のUA値の基準と必要な断熱材の厚さ
以下の表は、断熱等級5の住宅が満たすべきUA値とηAC値の基準を、地域区分ごとに示したものです。
地域区分 | UA値 | ηAC値 |
1地域 | 0.4 | - |
2地域 | 0.4 | - |
3地域 | 0.5 | - |
4地域 | 0.6 | - |
5地域 | 0.6 | 3.0 |
6地域 | 0.6 | 2.8 |
7地域 | 0.6 | 2.7 |
8地域 | - | 6.7 |
ノークホームズのある福井市は5地域と6地域にまたがっており、場所によりUA値が0.6、ηAC値が2.8〜3であることが求められます。
これらの基準を満たすためには、適切な厚さの断熱材が必要です。
たとえば、グラスウール(密度:16K)を使用する場合、壁の断熱材厚さは6地域で105mm以上が目安となります。
UA値は断熱材の他に、窓や玄関などの開口部の性能も含めて算出されるため、上記の仕様は目安です。
断熱等級5を満たすための外壁と窓(サッシ・ガラス)の仕様
断熱等級5の住宅を実現するには、断熱材だけでなく、外壁や窓の断熱性能も重要な役割を果たします。
とくに窓は夏の日射熱の約7割、冬の熱損失の約6割を占めると言われており、断熱性能を大きく左右する要素です。
断熱等級5の住宅では、以下のような外壁と窓の仕様が求められます。
部位 | 仕様 |
外壁 | 高性能な断熱材(グラスウール、発泡プラスチックなど)を十分な厚さで施工し、熱橋(ヒートブリッジ)を防ぐ工夫が必要です。 |
窓(サッシ・ガラス) | アルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシなどの高断熱サッシと、Low-Eガラスなどの高断熱ガラスを組み合わせた、複層ガラス(トリプルガラスや真空ガラスなど)の採用が推奨される。 |
このように、断熱等級5の住宅では外皮全体の断熱性能が求められます。
断熱等級1〜7の違い
住宅の断熱性能を表す断熱等級は、現在1〜7までの7段階に分かれています。
以下の表は、各断熱等級のUA値基準と、それに対応する省エネ基準を示しています。
断熱等級 | UA値基準(6地域) | 省エネ基準 |
等級1 | - | 1980年基準未満 |
等級2 | 1.67 | 1980年基準 |
等級3 | 1.54 | 1992年基準 |
等級4 | 0.87 | 2016年基準 |
等級5 | 0.6 | ZEH基準 |
等級6 | 0.46 | HEAT20 G2基準 |
等級7 | 0.26 | HEAT20 G3基準 |
断熱等級が上がるほど、UA値の基準は厳しくなり、断熱性能が向上することがわかります。
現在、新築住宅(300㎡未満の小規模住宅)に求められるのは説明義務のみです。
しかし、2025年4月以降は、小規模住宅でも断熱等級4が義務化される予定であり、将来的には断熱等級5(ZEH基準)が標準になると見込まれています。
さらに、2022年4月には断熱等級5が新設され、同年10月には断熱等級6(HEAT20 G2基準)と断熱等級7(HEAT20 G3基準)が追加されました。
これらの高断熱等級は、ZEHの実現を目指す上で重要な指標となっています。
2025年からの断熱などの義務化について、こちらで詳しく解説しています。
>「2025年からの省エネ住宅義務化」とは|断熱等の義務化内容、影響をわかりやすく解説
これから家を建てる際の断熱等級は?
現在の省エネ基準では、断熱等級4が最低限の基準ですが、将来的には断熱等級5以上の性能が求められるようになります。
ここでは、断熱等級5以上を目指す理由と、長期優良住宅との関係について解説します。
断熱等級5以上の断熱性能を目指す理由
現在、新築住宅に求められる省エネ基準は、断熱等級4です。
しかし、政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネ基準を段階的に引き上げる方針を示しています。
- 2025年:断熱等級4が義務化の予定
- 2030年:断熱等級5が新たな基準になる予定
このような動向を踏まえると、これから注文住宅を建てる際は、将来の基準である断熱等級5以上の断熱性能を確保することが賢明だと言えます。
断熱等級5の住宅は、冷暖房負荷が小さく、光熱費の削減に有効です。
また室内の温度差が小さいため、温度差による心臓や血管の疾患であるヒートショックのリスクを低減します。
長期優良住宅と断熱等級5の関係
断熱等級5は、長期優良住宅の認定基準とも深く関わっています。
長期優良住宅とは |
国の定める基準をクリアした、耐久性や省エネ性に優れた高品質な住宅のこと。 |
2022年10月より、長期優良住宅の認定を受けるには、ZEH基準と同等の断熱性能である「断熱等級5」を満たすのが条件の一つです。
長期優良住宅は、住宅ローン減税や固定資産税の減免など、さまざまな税制優遇を受けられるのが最大のメリットです。
また長期にわたって住宅の価値を維持できるため、資産価値の向上にもつながります。
これから注文住宅を建てる方は、断熱等級5以上の性能を確保し、長期優良住宅の認定を目指すことをおすすめします。
高断熱住宅の建築には、適切な設計と施工が不可欠です。
断熱等級5以上の性能を実現するには、経験豊富な工務店を選びましょう。
長期優良住宅については、こちらで詳しく解説しています。
>長期優良住宅の6つのメリットと3つのデメリット|注文住宅を建てる前に知るべきこと
ノークホームズは、持ち家率全国トップクラスの福井・石川で豊富な施工実績を持つ工務店です。
高断熱住宅にまつわる不安や資金計画などについて、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、住宅の断熱性能を表す指標である断熱等級について、とくに2022年に新設された断熱等級5を中心に解説しました。
今回の記事が、理想の注文住宅を検討する際の参考になれば幸いです。