住宅ローンの一括返済にデメリットはないか|損をしないタイミングと親から借りる場合の注意点も
住宅ローンを一括返済することで、利息の軽減や毎月の返済負担から解放されるなど、大きなメリットを得られます。
しかし、「本当に今が一括返済に適したタイミングなのか」「手元資金が減るリスクはないのか」と不安を抱える方もいます。
この記事では、福井・石川の工務店「ノークホームズ」が住宅ローンの一括返済について以下の項目で解説します。
住宅ローンの一括返済をご検討中の方は、ぜひご参考にしてください。
このコラムのポイント |
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目次
住宅ローンを一括返済するメリット
住宅ローンの一括返済とは、契約期間の途中で残りのローン残高を全額一括で返済することを指します。
通常、住宅ローンは数十年単位で返済を続ける契約ですが、一括返済を行うことで得られるさまざまなメリットがあります。
主なメリットは以下のとおりです。
- 住宅ローンの総支払額を減らせる
- 毎月の返済負担を軽減できる
- 精神的な安心感を得られる
- 保証料が戻ってくる場合がある
住宅ローンの総支払額を減らせる
住宅ローンを一括返済する最大のメリットは、利息負担を大幅に軽減できることです。
住宅ローンは元本に対して利息が加算される仕組みのため、返済期間が長引くほど、支払う利息の総額が増加します。
(例)
借入額3,000万円、金利1.5%、返済期間35年の住宅ローンの場合
- 通常返済:総支払利息 約8,600万円
- 10年目で一括返済:支払利息 約400万円
毎月の返済負担を軽減できる
住宅ローンを一括返済することで、家計における毎月の返済負担を解消し、経済的なゆとりを生み出せます。
浮いた資金を教育費や生活費、趣味などに有効活用することで、将来のライフプランに柔軟性を持たせることができます。
特に、収入が減少する見込みがある方や教育費が増える時期を控えたご家族にとって、この負担軽減は大きなメリットです。
精神的な安心感を得られる
住宅ローンを抱えていることは、多くの人にとって心理的な負担となります。
一括返済を行うことで、ローンの残高がゼロとなり、将来的な支払い義務から解放されます。
「借金がなくなる」安心感は、日々の生活におけるストレスの軽減や、将来の資金計画における柔軟性の向上にもつながります。
保証料が戻ってくる場合がある
住宅ローンを契約する際、多くの場合、保証会社に保証料を支払っています。
保証料は返済期間に応じて支払うため、一括返済によって減少した返済期間分に応じて、保証料が返金される場合があります。
この返戻される保証料のことを「戻り保証料」と言います。
戻り保証料の返戻率や手数料は銀行によって異なるため、事前に問い合わせて確認しましょう。
住宅ローンの一括返済を検討中の方は「ノークホームズ」へご相談ください。
福井・石川の工務店「ノークホームズ」では、マイホーム完成後の暮らしを見据えた資金計画を丁寧にサポートします。
住宅ローンを一括返済するデメリット
住宅ローンの一括返済には多くのメリットがありますが、同時に次のようなデメリットも存在します。
- 手数料がかかる
- 保険を見直す必要がある
- 急な出費に対応できなくなる可能性がある
手数料がかかる
住宅ローンを一括返済する際には、金融機関によっては「繰り上げ返済手数料」が発生する場合があります。
手数料は金融機関や契約内容によって異なり、数千円から数万円程度が一般的です。
ただし、特定の条件下では10万円以上になることもあります。
特に、返済期間が残り少ない場合は、一括返済による利息軽減よりも手数料負担が上回ることがあるため、総合的なコストを計算し、実際に削減できる利息額を確認することが重要です。
保険を見直す必要がある
住宅ローンを組む際には、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」に加入しています。
この保険は、借入者が死亡または高度障害になった場合にローン残高が支払われ、ご家族への負担を軽減する役割を果たします。
一括返済を行うとローン契約が終了するため、この団信も同時に消滅します。
団信以外の保険に入っていない場合は、一括返済の前に、生命保険や収入保障保険などの民間保険への加入を検討し、万が一の事態に備えておくことをおすすめします。
急な出費に対応できなくなる可能性がある
住宅ローンの一括返済を行うと、多額の現金を一度に支払うため、手元資金が減少します。
この結果、急な出費や予期せぬ出来事に対応できなくなるリスクが生じます。
例えば、突然の病気や失業、ご家族の不測の事態に備えるためには、一定の現金を手元に残しておくことが重要です。
一般的に「生活防衛資金」として6カ月から1年分の生活費を手元に残しておくことが推奨されます。
家を建てた後には、住宅ローンだけが定期的にかかるお金ではありません。詳しくは、こちらの記事をご確認ください。
>家を建てた後にかかるお金|一戸建てに毎月or定期的にかかるお金(ローン以外の税金等)を一覧表で紹介
住宅ローン一括返済する際に損をしないタイミング
住宅ローンの一括返済を検討する際には、タイミングを慎重に考えて実行することが大切です。
住宅ローン控除を受けられる期間には注意が必要
住宅ローン控除は、マイホームの購入やリフォームの際に利用できる所得税の減税制度です。
減税額は、「年末時点の住宅ローン残高×0.7%」であり、条件を満たせば、最大13年間控除を受けることが可能です。
一括返済すると、残高が0になるため、住宅ローンの控除を受けることができなくなります。
住宅ローン控除の適用期間中は、控除をどの程度活用するかを考慮しつつ、一括返済のタイミングを慎重に検討することが重要です。
ただし、金利が上昇して1%をこえる場合には、利息額が控除額を上回るため、住宅ローンの控除の適用期間内であっても一括返済する方が効果的です。
住宅ローンの金利動向や、金利上昇時の対策については、こちらでも確認できます。
>住宅ローン変動金利・固定金利は今後どうなる?いつ・何パーセントまで上がるか、金利上昇後の対策も解説
優遇金利が終了するタイミングで返済する
優遇金利とは、金融機関が独自に設定するキャンペーンや特別プランにより、一定期間適用される通常より低い金利を指します。
【フラット35利用時の場合】
金利引き下げプラン | 引き下げ期間 | 引き下げ幅 |
---|---|---|
フラット35S(ZEH) | 当初5年間 | 年間0.75% |
フラット35S(金利Aプラン) | 年間0.5% | |
フラット35S(金利Bプラン) | 年間0.25% |
<参照>フラット35ウェブサイト:商品ラインナップ【フラット35】S
優遇期間が終了すると金利が上昇するため、それ以前に返済することで金利上昇による負担増を回避できます。
ただし、先述のとおり、住宅ローン控除が残っている場合が多いため、控除が受けられる期間中は無理に一括返済せず、その分を貯蓄しておくなどして返済計画を立てることが大切です。
退職金などまとまった資金ができた場合
退職金が出た場合に住宅ローンの一括返済を検討する方が多いです。
その際には、老後の資金との兼ね合いを考慮して返済しましょう。
住宅ローンは他のローンよりも低金利である場合が多いため、無理をして一括返済するよりも、ライフプランや資産状況を考慮して判断することが重要です。
教育費の支出が多い時期は避ける
未成年のお子さまがいる場合は、教育費の支出が多い時期に当たります。
教育費の見通しが立たない状態で住宅ローンの一括返済をすることには注意が必要です。
教育費が不足する場合、教育ローンを検討をする方もいますが、教育ローンの金利は一般的に住宅ローン金利よりも高く設定されています。
一括返済を行っても金利を大幅に軽減できない可能性があるため、たとえ一括返済可能な資金が手元にあったとしても、この時期は最適なタイミングとは言えません。
福井・石川の工務店「ノークホームズ」は、ご家族の長期的なライフステージの変化を見据え、無理のない資金計画をサポートをいたします。
親から借入をして一括返済する場合の注意点
住宅ローンに限らず、ご両親からお金を借りる場合は、借入れに実態が伴わないと税法上で贈与とみなされ、借入金に対して贈与税が課税されることがあります。
贈与税を回避するためには、以下の点を工夫することが重要です。
- 贈与ではなく、借りるという方法を選び、借用書に明記しておく
- 実際に返済を行い、銀行振込などで記録を残す
- 贈与額が110万円をこえないようにする
- 110万円をこえる場合は、相続時精算課税制度も視野に入れる
住宅ローンの返済ための資金援助をどのように行うのが最適かは、贈与税だけでなく、将来の相続税への影響も考慮して慎重に検討する必要があります。
贈与税や相続税は、選択を誤ると数百万円から数千万円の損失につながる可能性があります。
また、親族間でのトラブルにも発展しやすいため、税理士に相談することをおすすめします。
住宅取得資金に係る贈与税については、こちらで確認できます。
>省エネ等住宅(=質の高い住宅)の基準とは|贈与税の非課税要件・証明書など簡単に解説
住宅ローン一括返済手続きの流れ
住宅ローン一括返済の方法は金融機関によって異なるため、指定された方法で返済する必要があります。
また、返済後の手続きも忘れずに行いましょう。
金融機関に一括返済を検討している旨を事前に伝える
住宅ローン一括返済の方法は金融機関によって異なりますが、一般的な流れは以下のとおりです。
住宅ローン一括返済の流れ |
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1. 取引先の金融機関に一括返済を検討している旨を伝えます |
ただし、自己資金ではなく売却や借り換えによる一括返済の場合は、来店が必要になるケースがありますので、事前に金融機関への確認が必要です。
抵当権抹消登記を忘れずに行いましょう
住宅ローンを一括返済すると、金融機関とのローン契約が終了します。
この際、住宅に設定されている「抵当権」を抹消する手続きが必要です。
抵当権が残ったままだと、不動産の売却や追加の借り入れに支障が生じる可能性があるため、必ず手続きを行いましょう。
【手続きの流れ】
- 金融機関から、抵当権抹消に必要な書類(抵当権抹消承諾書など)を受け取る
- 司法書士に依頼するか自分で手続きするか選択する(司法書士依頼費用は1〜3万円程度が相場です。)
- 法務局に抵当権抹消の申請を行う
- 登録免許税を納付する(不動産1つにつき1,000円の登録免許税がかかります。)
<参考>法務局:住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)
手続きが遅れると、書類の再発行が必要になる場合があるため、早めに対応することをおすすめします。
福井・石川で理想の住まいを無理のない資金計画で実現したい方は「ノークホームズ」へご相談ください。
ノークホームズは、ご家族の夢を叶える家づくりを丁寧にサポートします。
まとめ
住宅ローンの一括返済は、利息軽減や精神的な安心感など多くのメリットがありますが、タイミングや資金計画を誤るとデメリットが生じる可能性があります。
特に、住宅ローン控除を最大限活用する方法や手元資金の確保、ご両親からの借入時に贈与税を回避する工夫などについてご紹介しました。
この記事が、一括返済を検討する際の判断材料となり、最適な選択をする際の助けになれば幸いです。