平屋に震度7の地震に耐えられる耐震性はあるのか|平屋の過去の倒壊率、耐震等級1〜3の違いなど解説
「平屋は地震に強いのか」と疑問を持っている方へ。
「平屋は重心が低く、地震に強い」と言われますが、それだけで震度7の大地震に耐えられるわけではありません。
しかし、正しい設計と施工によって、地震に強い平屋を建てることは可能です。
そこで今回は、標準仕様で耐震等級3の住宅を建築している福井・石川の工務店「ノークホームズ」が、以下の項目を紹介します。
このコラムのポイント |
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ご家族が長く安心して暮らせるマイホームを完成させるために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
平屋に震度7の地震に耐えられる耐震性はあるのか|過去の地震における平屋の倒壊率
「平屋=地震に強い」というわけではなく、住宅1軒ごとに耐震性が異なります。
例として2016年に発生した熊本地震では、平屋・2階建てともに多くの住宅が倒壊しました。
倒壊の原因例は以下のとおりで、耐震等級3の住宅の多くが無被害or軽微な被害だったことがわかっています。
【熊本地震:住宅倒壊の原因例】
- 旧耐震基準の住宅(昭和56年5月以前に建築された住宅)
- 地盤の急激な変化
- 隣接する住宅の衝突
- シロアリ被害
〈参考〉国土交通省ウェブサイト「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について」添付資料:熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書3章
次に、将来予測されている大地震に耐えられる平屋づくりに必要な「構造(木造・鉄骨造など)」「工法(耐震・制震など)」の知識をわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
福井・石川で平屋をご検討中の方はノークホームズへお任せください。
標準仕様で耐震等級3を提供しています。
建物の構造別の平屋の耐震性
住宅構造は主に以下の3種類で、地震に対する強さを確保する方法が違います。
- 木造
- 鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造
以下で、各構造の特徴を詳しく紹介します。
木造
「木造」は、日本の多くの建築物に取り入れられています。
木造にはいくつかの工法があるため、主な工法を紹介します。
【工法】 特徴 |
メリット | デメリット |
---|---|---|
【木造軸組工法】 ・日本の伝統的な工法 ・柱と梁で骨組みを作り、壁や床で補強する |
・間取りの自由度が高い |
・職人の技術に建築精度が左右される |
【ツーバイフォー(2×4)工法】 |
・工期が短い |
・間取りの自由度が低い |
【木造ラーメン工法】 |
・大空間の確保が可能 |
・コストが高くなりやすい |
木造のうちどの工法を選ぶかは、予算・土地の状況・間取りなどのバランスを考慮して判断する必要があるため、施工業者のアドバイスを受けながら検討してください。
鉄骨造
「鉄骨造」は、建物の骨組みに鉄骨を使用します。
鉄骨は非常に高い強度と耐久性を持っているため、「強い地盤」「鉄骨造」を掛け合わせた平屋は地震に対する強さを期待できます。
ちなみに鉄骨造は台風にも強いですが、熱に弱いという特徴もあるため耐火性を向上させるための防火処理が必要となる点も、覚えておきましょう。
鉄筋コンクリート造
「鉄筋コンクリート造」の住宅は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて建築します。
「コンクリートの圧縮強度」「鉄筋の引張強度(引っ張って壊れるまでの強度)」両方を持ち合わせているため、鉄筋コンクリート造の平屋も地震に対する高い強度を期待できます。
またコンクリートは非常に高い温度でも燃えつきないため、防火性が高い点も特徴です。
しかし、鉄筋コンクリートは非常に重いため、建物全体を支える基礎をつくるために、木造・鉄骨造よりも建築コストが高い傾向があります。
平屋を建てる際の構造を紹介してきました。
どの構造を選ぶ場合も施工業者の技術力によって地震に対する強さを実現できるため、ご家族が選択する構造の施工実績が豊富な施工業者を選ぶことをおすすめします。
地震被害を抑える工法別の平屋の耐震性
次に、住宅の地震被害を抑えるための工法の種類・特徴を紹介します。
- 耐震
- 制震
- 免震
耐震工法に対する考え方は施工業者によって違います。
また、複数の工法を組み合わせて地震に対する強さを実現する施工業者もあるため、各工法を採用することでどのような平屋を実現できるのかを確認してください。
耐震
「耐震」とは、住宅の強度を高めて地震による倒壊・損壊を防ぐ工法です。
柱・梁・基礎といった構造体を強化して、地震に対する強さを確保します。
特に平屋の場合、基礎部分を強化することで、重心が低いつくりをいかした「揺れに強い住宅」を実現できます。
制震
「制震」とは、地震の揺れを吸収して住宅の倒壊・損壊を防ぐ工法です。
具体的には柱と壁・基礎などの結合部に「耐震ダンパー」という地震の揺れを吸収する金具を装着するなどで、住宅が地震の揺れのエネルギーを吸収できる状態になります。
そのため、強固な制震性能を持つ住宅は「建物の揺れを抑えられる」「長時間の揺れ・余震に対して安定した構造を保てる」などの特徴があります。
免震
「免震」とは、住宅と地面の間に免震装置を設置し、地震の揺れを直接建物に伝えないようにする工法です。
免震装置のはたらきによって、住宅が地震の影響を受けづらくなります。
免震は高い耐震性を確保できますが、大掛かりな基礎工事が必要となるため、建築コストが高額になるのが一般的です。
住宅の地震被害を抑えるための工法の種類・特徴を紹介してきました。
施工業者によって採用している工法が違うため、気になる施工業者のホームページなどで、標準仕様の工法を確認しましょう。
地震で倒壊しない平屋を新築するために耐震等級1〜3の違いを確認
住宅の地震に対する強さを実現するための構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)、構法(耐震・制震・免震)について確認してきましたが、「地震に対する強さを総合的にあらわす指標があるなら知りたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
現在、国は「住宅性能表示制度」という制度を実施していて、住宅の地震に対する強さは「耐震等級」という指標で確認できます。
耐震等級は3段階で、以下のとおり段階が上がるほど地震に対して強い住宅だと判断することが可能です。
耐震等級 | 特徴 |
---|---|
耐震等級1 |
・建築基準法で定められた最低限の耐震性能 |
耐震等級2 |
・耐震等級1の1.25倍の強度 |
耐震等級3 |
・耐震等級1の1.5倍の強度 |
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『住宅の品質確保の促進等に関する法律』新築住宅の性能表示制度ガイド(令和5年4月1日施行版)
福井・石川で耐震等級3の平屋をご検討中の方は、ノークホームズへご相談ください。
ノークホームズは、標準仕様で耐震等級3を提供している工務店です。
より地震に強い平屋を建てるポイント
次に、より地震に強い平屋を建てるポイントも紹介します。
構造・工法は施工業者の方針に合わせて選択するケースが一般的ですが、以下はご家族が平屋プランを検討する際に取り入れられるポイントのため、ぜひ参考にしてください。
-
地盤の強い土地に平屋を建てる|地盤強度によっては地盤改良が必要
-
壁・柱・梁のバランスを整える
- 建物の重量を意識する
地盤の強い土地に平屋を建てる|地盤強度によっては地盤改良が必要
地震に強い平屋を建てるには、土地選びも重要です。
2000年の建築基準法改正で、新築住宅に対して「地盤調査」と「調査結果に合わせた耐震設計」が義務付けられました。
強固な地盤の土地を収得することが望ましいですが、十分な地盤強度の土地に平屋を建てるのが難しい場合、地盤改良が必要です。
地盤改良には、複数の工法があります。
- 表層改良工法:地盤部分の土とセメント系の材料を混ぜ合わせて地盤強度を強くします。
- 柱状改良工法:地盤を強化するために柱状のパーツを使用し地盤の強度が増し、頑丈な基礎をつくります。
- 鋼管杭工法:建物を安定させるために地中に鋼製の杭を打ち込む地盤を強化します。 など
壁・柱・梁のバランスを整える
以下のようなプランの平屋は全体のつくりが複雑で、壁・柱・梁のバランスが崩れて地震に対する強度を確保するのが難しいケースがあります。
- コの字型の住宅形状にしてで中庭を設けたい
- LDKに大開口の窓が欲しい
- ステップフロアを採用したい
- リビングを柱のない空間にして、開放感のあるデザインを実現したい
- 天井を高くしたい など
壁・柱・梁のバランスの検討は施工業者が実施しますが、上記のような希望を施工業者に伝える際には、「地震に対する強さを損なわないか」を確認することをおすすめします。
建物の重量を意識する
平屋の屋根・外壁に軽い素材を採用すると基礎に対する負荷を軽減できるため、地震に対する強さを確保しやすくなります。
特に屋根の素材の重量は重要です。
【屋根の重量例】
- 瓦屋根:40〜60kg/㎡前後
- ガルバリウム鋼板:4〜6kg/㎡前後 など
また、平屋の屋根形状や周辺環境に応じて、太陽光パネルの設置を検討している方も多いのではないでしょうか。
太陽光パネルの重さは、メーカーにもよりますが一枚あたり約20kgが目安です。
太陽光パネルを設置する際には、重量も意識して容量等を施工業者に相談してください。
地震に強い家のつくり方を、こちらの記事でも確認できます。
>地震に強い家の特徴(家の構造、形など)&地震に強い家の新築を依頼するハウスメーカーの選び方
平屋・2階建てどちらが地震に強く暮らしやすいのか
次に、「平屋・2階建て」どちらを選ぶか迷っている方へ、「地震に対する強さの違い」「暮らしやすさの違い」も紹介します。
平屋・2階建ての地震に対する強さの違い
平屋・2階建ての重心の位置だけを単純に比較すると、平屋の方が一般的に地震の揺れを受けにくいとされています。
- 平屋:重心が低く、住宅全体のつくりを安定させやすい
- 2階建て:重心が高く、揺れを感じやすい
ただし実際には、今回紹介してきたとおり「地盤の強度」「柱・梁・壁のバランス」などが地震に対する強さに影響するため、平屋・2階建てどちらを選ぶ場合でも強固な耐震性を持つ住宅を建築可能です。
平屋・2階建ての暮らしやすさの違い
平屋と2階建ての暮らしやすさの主な違いは、以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
平屋 |
・シンプルな生活動線・家事動線の間取りをつくりやすい |
・広い土地が必要な場合がある |
2階建て |
・狭い土地でも日当たりを確保しやすい |
・階段の上り下りが必要 |
ご家族構成・ご家族のライフスタイルによって、平屋・2階建てどちらが暮らしやすいと感じるかが変わります
こちらの記事で平屋・2階建てのメリット・デメリットをさらに詳しく確認できるので、ぜひ参考にしてください。
>平屋と2階建てはどっちがいい?価格やメリット・デメリットを徹底比較
福井・石川でマイホームを検討中の方は、ノークホームズへご相談ください。
ご家族の希望を伺い、ライフスタイルに合うプランを提案いたします。
地震に強い平屋Q&A
最後に、地震に強い家づくりをご希望のご家族からノークホームズがよくいただく質問・回答を紹介します。
平屋に耐震等級3は必要か
耐震等級3が必要かどうかは、ご予算・土地の状況・間取りなどによって変わります。
また、地盤・建物ともに地震に対する強さを確認しながらプランを組み立てる必要があるため、耐震性能にこだわりを持つ施工業者を選び、相談しながら耐震等級を決めることをおすすめします。
こちらの記事で、耐震等級3の住宅を実現するメリット・デメリットを確認できます。
>「耐震等級3」で後悔する理由|耐震等級3の必要性や取得方法・費用、メリット・デメリットなど解説
地震以外の災害対策も必要か
平屋のプランを検討する際に意識するべき地震以外の災害の種類は、主に以下のとおりです。
- 水害
- 土砂災害
- 台風
- 火災
- 竜巻 など
平屋のプランを検討する際には、各市町村が公表しているハザードマップで平屋を建てるエリアの災害危険性を必ず確認してください。
災害危険性の高い地域を避けることが一番大切な安全対策ですが、万が一の災害被害を想定して、被害を受けづらい&避難しやすい家づくりを意識することが大切です。
耐震性能の高い平屋は地震の際に避難しなくていいのか
地震の被害状況次第で、避難の必要性は変わります。
耐震性能の高い住宅を建てるメリットは「地震の際に避難の時間を確保できる」という点で、耐震性が高い建物は絶対に倒壊・損壊しないというわけではない点にご注意ください。
ただし、災害発生時には「感染症から身を守る」「衛生的な環境で避難する」などの観点から、自宅待機が望ましいとされています。
耐震性能の高い平屋を建てることで自宅待機が実現する可能性が高まるため、耐震性能にこだわって家づくりをすることは、地震発生時にご家族を守ることにつながりますね。
耐震等級の高い平屋なら、震度7でも激しい揺れを感じないのか
耐震等級は地震の揺れを抑える指標ではないため、耐震等級3の平屋であっても土地の状況・地震発生状況などによって激しい揺れを感じる可能性があります。
「揺れを感じることに恐怖を感じる場合は免震工法を選択する」など、ご家族の要望を施工業者に相談することをおすすめします。
地震に強い平屋の新築を依頼できる施工業者の選び方を知りたい
地震に強い平屋の新築を依頼できる施工業者選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 標準仕様の耐震等級を確認
- 標準仕様の地震対策を確認
- 耐震等級の高い家の施工実績を確認
- アフターサービス体制を確認
- 見積もりで地震対策工事の内容・費用が明確に提示されているか確認
- 地域の地盤の特徴、地震発生の頻度などを把握しているか確認
平屋を建てる際の施工業者の選び方を、こちらの記事で確認できます。
>平屋を建てるなら大手ハウスメーカー・工務店どちらも確認|価格・間取り・性能などチェックポイント
まとめ
平屋は震度7の地震に耐えられる耐震性はあるのかを確認していただくために、構造・工法など、地震に対する強さを確保するうえで必要な情報を紹介してきました。
一般的に「平屋は重心が低く地震に強い」と言われることが多いのですが、住宅の地震に対する強さは地盤・構造・工法・間取りなどによって変化します。
耐震性能にこだわりを持って家づくりに取り組んでいる施工業者を厳選し、ご家族が安心して暮らせる平屋のマイホームを完成させていただけると幸いです。