パッシブハウスに住んでみてわかるメリット・デメリット|パッシブデザインに強いメーカーの選び方も解説
パッシブハウスは、快適に過ごせて環境にもやさしい住宅として人気を集めています。
「実際に住んでみると、普通の住宅との違いを感じられるの?」と興味をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
また、「そもそもパッシブハウスとは?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、パッシブデザインで多数の施工実績を持つ福井・石川の工務店「ノークホームズ」が、以下の項目をわかりやすく解説します。
このコラムのポイント |
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パッシブハウス・パッシブデザインについての疑問を解消し、家づくりの参考にしていただけると幸いです。
目次
パッシブハウスとは
パッシブハウスとは、ドイツ発祥の省エネ性能が非常に高い住宅のことです。
建築士などの有志が設立した民間団体が、「日本の住宅の省エネ性能は世界基準から30年遅れている」という考えのもとで、パッシブハウス普及に取り組んでいます。
パッシブハウスが目指す具体的な省エネ性能は、以下のとおりです。
- 住宅全体を魔法瓶で包むような設計によって、夏涼しく、冬暖かい室内環境を実現
- 住宅全体が魔法瓶で包まれたような状態のため結露・カビ発生のリスクが低く、「リフォーム費用を抑えながら長寿命」を実現できる
- 住宅自体が快適な室内環境を維持できる性能なので、住宅設備・家電機器の稼働は最小限でOK
- 住宅設備・家電機器の稼働を最小限に抑えられるので、光熱費を抑えながら暮らせる
パッシブハウスは、上記の実現を目指して、厳しい基準に従って高い設計・施工技術で建築されます。
【具体的な設計・施工基準の例】
- 冷暖房負荷:15kwh/㎡以下
- 一次エネルギー消費量:120kwh/㎡以下 など
日本では、まだ「パッシブハウス」は広く普及していないため、「実際に住んでみると、普通の家とどのような違いがあるの?」と疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。
そこで次に、パッシブハウスの住み心地、メリット・デメリットを紹介します。
福井・石川のノーク・ホームズは、パッシブデザインを得意とする工務店です。
パッシブデザインに対応できるハウスメーカーをお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。
パッシブハウスに住んでみてわかるメリット
実際にパッシブハウスに住んでみると、以下のようなメリットがあります。
- 家の中で温度差がない
- 光熱費を抑えられる
- 結露によるカビが発生しづらい
- 冬でも暖かい
家の中で温度差がない
パッシブハウスは断熱性・気密性・蓄熱性が非常に高く、太陽光の日射熱を、冬は室内に取り込み、夏は遮熱します。
そのため、1年を通して・1日を通して、室内を移動する際に温度差を感じづらい点が魅力です。
- 断熱性とは:室内の空気が屋外に逃げづらく、過剰な日射熱の侵入を防げる性能
- 気密性とは:家のすき間を小さくすることで、室内・屋外の空気の出入りを防ぐ性能
- 蓄熱性とは:熱しにくく冷めにくい建材を使うことで、冬の日中に太陽の日射熱をゆっくり蓄え、夜に蓄えた熱で室内温度を保つ性能
室内の温度差が少ないことで、ヒートショック防止など健康上のメリットも期待できます。
断熱性の高い家の室内温度を、こちらの記事で確認できます。
>高気密高断熱の住宅の朝の室温は夏26度・冬10度〜が目安|エアコン無しでも過ごせるのか、夜の温度低下も解説
光熱費を抑えられる
パッシブハウスは家自体が室内環境を守れる性能なので、冷暖房の稼働を抑えられます。
そのため、一般的な住宅で暮らす場合より、光熱費を抑えられる点も大きなメリットです。
電気・ガスなど冷暖房機器に使用するエネルギー価格が上昇しても、影響を受けづらいと考えられます。
断熱性が高い家の光熱費シミュレーションを、こちらの記事で確認できます。
>断熱等級7の電気代削減効果|断熱等級5〜7の光熱費シミュレーション(オール電化・電気+ガス)
結露によるカビが発生しづらい
パッシブハウスは、外気温の影響を受けづらいことから結露・カビを抑えられるため、掃除の手間を軽減できる&健康にも良い影響があることを想定できますよね。
また、室内だけでなく外壁の内側で発生する「壁内結露」も抑えられるため、目に見えない柱・梁などの劣化を防ぐメリットもあります。
柱・梁などの劣化は高額の大規模リフォームにつながるため、リフォームサイクルを長くできる点も、パッシブハウスの魅力です。
パッシブハウスに住んでみてわかるデメリット
パッシブハウスに住んでみてわかるメリットを確認してきましたが、どの住宅にも必ずメリット・デメリットの両面があります。
パッシブハウスにもデメリットがあるため、次に確認しましょう。
- 建築費用が高額
- 立地が限られる
- 完成までの期間が長いケースがある
- 施工できるハウスメーカーが少ない
建築費用が高くなりがち
パッシブハウスは以下の基準を満たす高グレードの建材を使用するため、建築費用が高額になるのが一般的です。
- 冷暖房負荷
- エネルギー消費量
- 断熱性・気密性 など
しかし、建築費用が高額でも光熱費・リフォーム費用を抑えらるため、長期的な視点で費用計算をすることが大切です。
立地が限られる
パッシブハウスは太陽光・自然風の力を活用することが必須なので、建築できる立地が限られます。
- 住宅密集地での建築が難しいケースがある
- 周辺を木・林・斜面などに囲まれている場合も、建築が難しいケースがある
- 傾斜地・道下物件(道路よりも低い土地)などでの建築も難しいケースがある
パッシブハウスを希望する場合は、土地選びもこだわる必要があります。
そのため、早い段階でハウスメーカーを決めて、土地選びの段階からサポートを受けることをおすすめします。
こちらの記事で、土地選びのポイントを確認できます。
>土地選びの優先順位を解説|土地選びのポイントチェックリスト、買わないほうがいい土地の条件も紹介
ノークホームズは、パッシブデザインを得意とする福井・石川の工務店です。
土地選びの段階からご家族をサポートしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
完成までの期間が長いケースがある
パッシブハウスは以下の理由から、完成までの期間が長いケースがあります。
- 土地探しが難航する場合がある
- ハウスメーカー探しが難航する場合がある
- 設計・施工期間が長い場合がある など
パッシブハウスは立地・住宅性能ともにご家族の快適な暮らしを実現する住宅なので、長期的な視野を持ち、計画段階から余裕を持ってプランを組み立てることをおすすめします。
こちらの記事で、家づくりの流れを確認できます。
>家づくりの流れをわかりやすく解説|何から始めるのか、着工〜完成の流れ・期間、各ステップの注意点など
施工できるハウスメーカーが少ない
パッシブハウスは建築基準法などの法令を上回る独自基準で建築するため、対応できるハウスメーカーが限られる点がネックです。
ただし住宅業界では、2025年の省エネ住宅義務化に向けて、省エネ性能の高い住宅を標準仕様で提供するハウスメーカーが全国的に増加しています。
2025年の省エネ住宅義務化について、こちらの記事で詳しい内容を確認できます。
>「2025年からの省エネ住宅義務化」とは|断熱等の義務化内容、影響をわかりやすく解説
そのため、地元密着型の工務店・大手ハウスメーカーなどの事業規模にこだわらず、省エネ性能にこだわりをもつハウスメーカーを選びましょう。
「パッシブハウス」は日本ではまだなじみがないため、「パッシブデザインに取り組んでいるハウスメーカー」の方が探しやすいことを、念頭に置いていただけると幸いです。
次に「パッシブデザイン」についても簡単に解説するので、ぜひご確認ください。
パッシブデザインとは
パッシブデザインとは、太陽光・自然風といった自然のエネルギーを活用して、快適な室内環境をつくりだす設計手法です。
パッシブデザインは、下記5つの要素をベースに設計されるのが特徴です。
要素 | 内容 |
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断熱・気密 |
高断熱・高気密にすることで、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を叶えます。 |
日射遮蔽 |
軒や庇を長くする・緑のカーテンを設置するなど、夏の強い日差しを遮蔽する工夫を施します。 |
自然風の利用 |
窓の配置や間取りを工夫して自然風を取り込み、冷房の稼働を最小限にして快適な環境を整えます。 |
昼光利用 |
太陽光を室内に取り入れ、照明を使わずに明るい空間を実現します。 |
日射熱利用暖房 |
蓄熱性の高い建材を採用し、太陽の熱を積極的に取り入れることで、冬でも暖かい環境を叶えます。 |
ただしパッシブデザインは、パッシブハウスとは違って明確な数値基準がありません。
そのため、パッシブデザインに取り組んでいるハウスメーカーであっても、設計内容はさまざまです。
次にパッシブハウス・パッシブデザインを依頼するハウスメーカーの選び方も解説するので、一緒に確認しましょう。
パッシブハウス・パッシブデザインを依頼するハウスメーカーの選び方
パッシブハウスやパッシブデザインの住宅を建てたい場合、次の5点に注意してハウスメーカーを選びましょう。
- パッシブハウスやパッシブデザインの実績・施工例
- 地域の気候特性への理解度・対応力
- コスト面での透明性
- アフターサポートの充実度
パッシブハウスやパッシブデザイン住宅の実績・施工例
実績数・経験年数だけでなく、「具体的な施工例・間取り」「顧客のレビュー」まで把握できれば、安心して依頼できるハウスメーカーを選べます。
パッシブハウスやパッシブデザインの住宅を建てたい場合には、これまでの施工実績を必ず確認しましょう。
パッシブデザインの住宅を見学するのもおすすめです。
地域の気候特性への理解度・対応力
地域の気候特性を深く理解し、その特性にあった設計ができるハウスメーカーかチェックしておくと安心です。
パッシブハウスやパッシブデザインの住宅では、太陽光や自然風といった自然エネルギーを活かすため、その地域の気候特性が大きく関わります。
これまでにどういったパッシブデザインの住宅を手がけてきたか、その地域ならではのこだわりや特徴をヒアリングしましょう。
コスト面での透明性
「光熱費はいくら安くなるのか」「ランニングコストの削減率はどれくらいか」など、長期的な視点でコストを解説してくれるハウスメーカーであれば、納得して依頼できます。
パッシブハウスやパッシブデザイン住宅の建設はローコストではないため、建築から解体までのトータルコストがどれだけ経済的かを把握するために、説明を十分に行ってくれるハウスメーカーを選びましょう。
アフターサポートの充実度
高度に設計された家を維持するためには、定期的な性能チェック、メンテナンス、改修などを行う必要があります。
そのため、パッシブハウス完成後のサポートが整っているかも確認しておきましょう。
パッシブハウスやパッシブデザインに関するよくある質問
最後に、パッシブハウス・パッシブデザインについて、ノークホームズがよくいただく質問・回答を紹介します。
パッシブハウスの予算はどれくらい?
パッシブハウスの予算は土地の状況・間取り・地域・ハウスメーカーなどによって大きく異なるため、明確な金額を提示することは難しいのが現実です。
一般的には高グレードの建材を使用するため、建築基準法などの法令を満たすのみの住宅と比較して高額になることを、想定しておきましょう。
「パッシブデザインで住宅設計をしているハウスメーカー」「標準仕様で高性能を提供しているハウスメーカー」を選ぶことが、過剰な追加費用を発生させないポイントとなります。
福井・石川のノークホームズは、パッシブデザインに取り組んでいる工務店です。
標準仕様で断熱等級7・長期優良住宅などを提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
パッシブハウスとパッシブデザインの違いは何?
パッシブハウスはドイツ発祥の省エネ住宅で、独自の省エネ基準で建築されます。
一方で、パッシブデザインは住宅そのものではなく、設計手法を指す言葉です。またパッシブハウスとは異なり、明確な数値基準は設けられていません。
パッシブデザインに間取の制限はある?
パッシブデザインに間取りの制限はありません。
しかし、パッシブデザインならではの効果を最大化したい場合、理想の間取りと異なる場合もあります。
間取りにこだわりがある場合には、パッシブデザインの実績が豊富で、対応力の高いハウスメーカーを選びましょう。
まとめ
今回は、パッシブハウス・パッシブデザインを解説するとともに、住んでみるとわかるメリット・デメリット、ハウスメーカーの選び方などを紹介しました。
パッシブデザインが可能なハウスメーカーへ依頼することで、ランニングコストを抑えながら、快適に・環境へ配慮した暮らしを実現できます。
しかし、パッシブハウス・パッシブデザインならではの設計・施工が必要となるため、施工実績が豊富なハウスメーカーを選びましょう。